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いや,嬉しいニュースと,イマイチなニュースが両方あったもので。

銑鉄:レンジの原理で精製 マイクロ波を鉄鉱石に照射 東工大実験、省エネに貢献(毎日インタラクティブ)

はやぶさ、消滅の運命? 地球の大気圏に再突入の公算大(gooニュース/朝日新聞)

以前(昨年11月21日)にも電子レンジでペットボトルの素材を効率よく分解するというニュースを紹介しましたが,今度は製鉄(正しくは,鉄鉱石から銑鉄を精製)することにも電子レンジ(の原理)が利用できる。というものです。

しかし最初に読んだ時には今一つ納得できなかったのも事実。
詳細は別記。と。


「はやぶさ」については ・・・・ とにかくまずは帰って来い! 話はそれからだ! ってところではないでしょうか。
サンプルリターンに関しては,微妙な状況になっている事は周知の通りですが(小惑星イトカワへ着陸はしたが,資料を採取するための機構の正常動作を示す信号が記録されていない),それでも「地球へ帰って来る」だけでも十分な成果だと思います。

欲を言えば,軌道上でなんらかの手段で探査機本体も回収して,地上で分解,分析してリアクションホイールの故障の問題とか,そのあたりの調査をしてほしいとも思いますが,そもそもの目的からすれば,まずは採取できているかもしれないサンプルをどうやって持ち帰るか。ですからね。


>電子レンジで加熱できるのは水を含むもので、水分子に乏しい鉄鉱石には応用できないとされていた。

とあるように,電子レンジの動作原理というか,発熱の原理は,食品中に含まれる水分子が,照射されるマイクロ波によって,向きを激しく変える運動をすることです。
分子の運動の激しさ = 温度の高さ でもあるわけで,水分子の振動(高熱)が周囲に伝わる事で,全体が温まる。と。

ちなみに,水分子がマイクロ波で激しく運動するのは,水分子に極性が存在しているためです(水分子全体としてみれば電気的に中性だが,分子の中で部分的にプラスの部分とマイナスの部分が存在している)。
逆に,極性のない分子,例えば二酸化炭素などは影響を受けません。
ですから,ドライアイスを電子レンジにいれても,気化(正しくは昇華)するスピードは変わりません。

それなのに,なんで ・・・・ と思っていたところ,ふと思い出したのが1つ。
鉄系金属の簡単な強化方法として熱処理(焼き入れなど)がありますが,棒材の表面部分だけを加熱して熱処理を行うものがあると聞いたことがあるのですが,その名称として「高周波加熱」というものを聞いた覚えがあります。
その関連かな?

それとも,IHヒーターの原理に近いのだろうか?

と思ってちょっと調べてみたら ・・・・ あれ? 高周波加熱(高周波誘導加熱)って,これは ・・・・ IHヒーターと同じものじゃないか。
んでも,マイクロ波とは書いてないなぁ ・・・・ 。
むぅ ・・・・ 謎じゃ。
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コメント
なんとか「はやぶさ」を
 低軌道に放り込めませんかね。んで、ISSのロボットアームで回収っと。
 いや、それを実現するだけの精度が確保出来るか?といえば困難なのは承知しています。サンプルリターンの技術確立も重要です。
 それでも、(本体に付着しているであろうイトカワの試料の件を別にしても)回収してトラブルの原因調査『も』して欲しいと思います。感傷論ですし浪漫の領域なんですけど、「はやぶさ」を内之浦に帰してあげたいな。

 マイクロ波製鐵(仮称)は何なんでしょ?
 最初、「マイクロ波」と言っても電子レンジと違う周波数を使用しているのかとも思いましたが、波長12センチって電子レンジの周波数帯(2.4GHz)なんですよね。(オール電化の回し者としては、またLPガス業界から「鉄をも溶かすIH!」とかいってくだらないバッシングのネタにされるかと…。IHはもっと波長が長いみたいですな)

 650度で高炉を設計可能なら、耐熱面がかなり楽になりそうですね。ただこの温度だといわゆる『湯』と呼ばれるドロドロの銑鐵は出そうにないので、その後の製鋼プロセスまで全て見直す必要がありそうなのが…
(下手な取り出し方をすると高炉内で固まっちゃいそうな気がする、近代製鐵発祥の地の民)
【2007/03/20 10:14】 NAME[キツネソバスキー] WEBLINK[] EDIT[]
確かに
>感傷論ですし浪漫の領域なんですけど、「はやぶさ」を内之浦に帰してあげたいな。
 思いますよね。
 個人的には,感傷論であると同時に,宇宙(惑星間空間)を旅して来た『現物(実物)』を目の前にする事が出来たら,無茶苦茶凄いと思います。
 下手なタレントを使って理科ばなれ対策のTV番組作るよりも凄いと思うんだけどなぁ。


>マイクロ波製鐵(仮称)は何なんでしょ?
 何なんでしょうね?
 還元材であるコークスにしても,石炭を蒸し焼きにしたものだから,水分なんて抜け切ってるだろうから,そちらからの発熱でもないだろうし ・・・・ 。


>650度で高炉を設計可能なら、耐熱面がかなり楽になりそうですね。
 マイクロ波の放射源をどこにどう設置するかって辺りの設計がそれ以上に厄介そうな気はしますが ・・・・ 。
 それに,反応の始まりが650度であっても,反応熱で最終的にどのくらいまで温度が上昇してるのかも気になります。
 まぁ,温度がある程度以上になるのであれば,ご懸念の「炉内部での凝固」は問題なし,になるような気もします。


 ついでに言えば,この技術の要点というかセールスポイントは
>従来法に比べ半分ほどのエネルギーで製鉄が可能と見込め
ることだそうですから,全体のプロセスの大幅な見直しは必要ないのかもしれません。
 って,そうなると,耐熱面では現在と変わらないレベルの物が必要ってことになりますね。
【2007/03/20 22:57】 NAME[ナーラー・ヤナ] WEBLINK[] EDIT[]
あ、見つかった
www.titech.ac.jp/publications/j/techtech09/08.html
(東京工業大学広報誌のサイト)

 酸化鉄や炭素はマイクロ波の吸収が良いんですと。あと反応温度は高炉-200度なので1000度以上にはなるのか。
 いや、額面通りならすごい技術ですよ。高炉での消費エネルギーを削減してなおかつ銑鐵段階で不純物が少ないとなると、鋼材によっては転炉の過程が不要ということに。その辺も含めての
>>従来法に比べ半分ほどのエネルギーで製鉄が可能と見込め
なのかもしれませんが。

 気になるとすれば、今の高炉では粉鐵鉱石や粉炭は禁忌なんです。リンク先の高炉図で説明すると、「スラグ」から「搬入線」あたりまで鐵鉱石とコークスを層状に重ね、下方の「羽口」から熱風(1500度ほど)を吹き込んで反応を起こし銑鐵を得る、というのが大雑把な高炉の流れです。この場合、鐵鉱石とコークスは塊状で投入し、熱風が高炉上部まで行き渡るよう隙間をあけて重ねるのがセオリーです。
 そう、今の高炉の構造では、粉末原料だと高炉全体に熱風が行き渡らず(目詰まり状態)途中で反応が止まってしまいます。
 何百年培ってきた現代型高炉のノウハウが全く通用しない(一からノウハウを確立しないといけない)なんて事態も考えられるわけでして。

 結局のところ、3000トン*3回で日産9000トン(一回8時間。実際は銑鐵を取り出す端から原料を投入するのでこういう単純な式にはなりませんが)対、少量*288回(一回5分で計算)*マイクロ波高炉沢山のどちらが効率的かという話になるんでしょうが。
 これに転炉の回転率や高炉を製品製造工程の近くに設置できることによる(熱風炉のような周辺機器が不要・少量高速生産を逆手に取った高炉のコンパクト化等)運搬ロスの削減...etcも考えると………
 駄目だ、思考がパンクしそう orz


※追記
www.nifs.ac.jp/NIFS-NEWS/
(自然科学研究機構 核融合科学研究所)
リンク先の「マイクロ波と物質の相互作用」をご覧下さい。
 いやもう一体何が起こっているのやら。とりあえず「粉末にすると物質の挙動が変化する」というのはなんとなく分かったんですが。
【2007/03/21 12:08】 NAME[キツネソバスキー] WEBLINK[] EDIT[]
をぉ,そんなところに
>www.titech.ac.jp/publications/j/techtech09/08.html
>(東京工業大学広報誌のサイト)
 情報ありがとうございます。
 つーか ・・・・ 研究室のサイトまで辿りついてるんだから,もう少し探せよ>自分


>酸化鉄や炭素はマイクロ波の吸収が良いんですと。
 なるほど ・・・・ 。
 で,それを利用して酸化鉄の還元に必要な熱エネルギーを,現在の様なコークス(炭素)の燃焼熱ではなくて,マイクロ波による直接加熱で行うってことなんですね。
 納得。


>気になるとすれば、今の高炉では粉鐵鉱石や粉炭は禁忌なんです。(以下略)
>何百年培ってきた現代型高炉のノウハウが全く通用しないなんて事態も考えられるわけでして。
 この部分はご懸念の通りではないかと思います。
 省エネルギー(と言うことはコスト低減)という視点からは素晴らしいものだと思いますが,少なくとも高炉そのものの設計の見直しは必須かと。
 高炉における還元の後の工程を考えると,『湯』のように融解した状態で出てくれた方がいいのかなと思います(用途によっては転炉が不要としても,長尺の棒状の鋼材や板材を連続的に造るにはそのほうがいいと思うのですが。後,合金を造るにしても)。 が,そうなると鉄の融点以上の高温が必要なわけで,そんな高温の炉のどこにマイクロ波の入射口を造るのかというのは ・・・・ 難問かと。
 ご指摘の,粉体を利用する事による問題点は現在の高炉の原理からする限り私程度の頭では反論も解決策も思いつきません。

 あ,省エネルギーの他にこれもメリットですね。

>強度の大きな鉄鉱石とコークスを原料としなければならないが、そうした良質の鉄鉱石と石炭の産出量は限られている。
 粉体として使うのであれば,強度の弱い原材料でも全く問題がないどころか,逆に粉体にするのなら弱い方がいいってことになるでしょうし。


>NIFS-NEWSの記事について
>プラズマ、特にその電子がエネルギー授受の経路に作用している可能性もあります。
 素人考えですが ・・・・ こんな原理なのかな? という考えが浮かびました。
1:マイクロ波が原子,というよりもその原子核の周囲を回る電子にまずエネルギーを与える。
2:この時エネルギーを受け取る電子は,おそらくは金属結合の自由電子であろうから,その電子の運動エネルギーが増加する。
3:イコール,温度の上昇である。
  ・・・・ という意味なのかなぁ ・・・・ とか思ってるのですが ・・・・ 。


>黒体放射に重畳して、数電子ボルトのエネルギー領域で励起原子や分子の輝線スペクトルが出ています
 という記述からしても,マイクロ波の照射に伴って,原子の励起(外部からのエネルギーを受け取って,原子核の周囲を回る電子が,通常の軌道よりも外側-エネルギーの高い状態に移る事)が起きてるのは確かと思われます。
 この原子が気体のように他の原子と離れていれば,そのエネルギーを電磁波として放出して終わりですが,金属結合の自由電子だと上記の様なことになるのかなぁ ・・・・ と。


 それにしても,いつもながらにこの手の自然科学関係のネタで意見交換をさせていただいているととても楽しいのに加えて,非常に勉強になります。
 いつもありがとうございます。
【2007/03/21 21:23】 NAME[ナーラー・ヤナ] WEBLINK[] EDIT[]
あ、そうか
>で,それを利用して酸化鉄の還元に必要な熱エネルギーを,現在の様なコークス(炭素)の燃焼熱ではなくて,マイクロ波による直接加熱で行うってことなんですね。
 熱エネルギーのプロセスが違う以上、初めから現代型高炉のノウハウは使えないですね。耐火煉瓦も使い回せるかどうか。
 温度面では陶芸用マイクロ波加熱炉が1200度以上になるので大丈夫そうなんですが、この場合長くて数時間しか加熱しないみたいなので。(マイクロ波による効率的な加熱=短時間で焼き上がり!が売りですから)
 高炉となると24時間365日連続運転だからな~。マグネトロンと耐火材、両方の耐久性が気になりますね。

>粉体として使うのであれば,強度の弱い原材料でも全く問題がないどころか,逆に粉体にするのなら弱い方がいいってことになるでしょうし。
 ですね。粉体のほうが運搬も楽だし。いや本当に考えれば考えるほどメリット多いぞ。>マイクロ波製鐵
 あとは一杯200トンの転炉を基準に全てが回っている製鋼→製造ラインを上手いこと出来れば…

 こちらこそいつも勉強させていただいています。
【2007/03/22 00:18】 NAME[キツネソバスキー] WEBLINK[] EDIT[]


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